こんにちは、Happierです。
前回は、厚切りジェイソンさんの待望の続編『ジェイソン流お金の稼ぎ方』(ぴあ株式会社)を取り上げました。
在日IT企業役員とお笑いタレントという、全く異なる二つの顔を持つジェイソンさん。そんな唯一無二の人材として活躍中の、著者ならではのビジネス系自己啓発本として、また実話系サクセスストーリーとしても、違った角度から二度以上楽しめます。
【最新作】
最新作も、是非お手に取って頂きたいと思います。
本日の一冊
今回ご紹介したいのは、ジェームズ・ドゥティ (著)、荻野 淳也 (解説)、関 美和 (翻訳)の『スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック 』(プレジデント社)です。
なぜこの本を読んだのか
これまで世界20カ国語以上で出版され、しかも翻訳版は2016年発売以降、Amazonにおいて1,770人以上がレビュー評価を行い、満足度が星4.5の高評価本!それなのに、まだ読んだ事がないなんて‥という理由から興味を持ちました。
しかも、水色(有名な宝飾ブランドカラーを彷彿とさせます)にポップなイラストも可愛い!という、カバーの親しみやすさも大いに手伝って、図書館でリクエスト予約をして借りてきました。
「マインドフルネスが人生を変える鍵」
当書は本のジャンルとしては、「自己啓発・マインド」に属します。
そう、マインドが重要なんです。本の帯にも「マインドフルネスが人生を変える鍵」とあります。
マインドフルネス(mindfulness)の辞書的定義は、「今この瞬間の自身の精神状態に深く意識を向けること。またそのために行われる瞑想」とされています。
またマインドフルネスは、「2010年代半ば頃からストレス軽減や集中力の向上に役立つ心的技法と見なされ、特に欧米の企業を中心に社員研修などに採り入れる動きがある」との事です。
【引用】デジタル大辞泉「マインドフルネス」(2023年12月11日閲覧)
つまりマインドフルネスとは、心を”今”に向けた状態のことで、いまや世界中の人々がビジネスのみならず、医療や学校教育の現場にも、その手法としての瞑想やエクササイズを日常的に取り入れているとの事です。
「心ここにあらず」が常態化している忙しい現代人。だからこそ、脳の疲労回復とパフォーマンス向上のためにも、過去でも未来でもなく「今、この瞬間」に集中する時間を、例え短時間でも、意識的に確保する必要があるようです。
本書にも、マインドフルネス瞑想の詳しい方法が載っていますので、簡単に試せますよ。
そうはいっても、毎日まとまった時間は取りづらいですよね。
経済評論家の勝間和代さんも、無意識を開放する時間を積極的に作るため、マインドフルネス瞑想を習慣化されているそうです。
著書『できないのはあなたのせいじゃない ブレインロック解除で潜在能力が目覚める』(プレジデント社)で、マインドフルネス瞑想の効果や、著者ならではの工夫についても述べられています。ご興味あれば、是非読んでみて下さい。
さて、私個人は時間が空く度に、マインドフルネス瞑想を自分の生活に取り入れられる範囲で、自己流ですが行うようになりました。目を閉じて鼻から息を深く吸い、ゆっくり吐く事を繰り返します。そうすると、「今、この瞬間」に意識を集中させられるようになります。
家事はちょこまかと動き回り、手足を動かしながらも「今、前倒しできる用事はないか」と、考え続ける事が多いので、同じ姿勢で比較的無心になれる食器洗い中に行うことが多いです。
マインドフルネス瞑想を実践したからといって、人生が一気に好転するわけではありません。ただ継続する事で、余計な評価判断を手放して、自分を客観視する力が身につきます。そして、周囲の環境は直ぐには変えられませんが、自分の反応は変えることができます。
だから私も、年齢的にも何かと手の掛かる姉妹、片付けても学用品やおもちゃが散乱する部屋、家族の中で長男化が止まらない旦那氏等にも、雑念が止まりませんが、できるだけ!自分の反応を選ぶよう心がけています(はい、できるだけ‥)。
マインドフルネス瞑想、リラックスできます。そしてひと時のリフレッシュ効果も。本書にある、心を開く10ヶ条の「心のアルファベット」も併せて思い出すようにするとより効果的で、謙虚で幸せな気持ちが心いっぱいに広がっていきます。姉妹喧嘩によって、一瞬でかき消される時もありますが(笑)
実話ゆえの驚きと感動を
ただマインドフルネスもさることながら、個人的には、実話にも関わらず映画さながらのストーリー展開と、著者の半生から得られる教訓に一番心を動かされました。
とにかく、読み応えがあります!
まずは著者のジェームズ・ドゥティ氏の華々しい肩書をご紹介させて下さい。
スタンフォード大学医学部臨床神経外科教授、スタンフォード大学共感と利他精神研究教育センター(CCARE)の創設者兼所長、ダライ・ラマ基金理事長
現在ではご専門の研究に従事されているだけでなく、起業家、慈善事業家としても幅広く活動されているとの事です。
そんな誰もが羨むキャリアであれば、経済的豊かさに恵まれた出自であるがゆえの結果なのだろうと決めつけたくなります。当書を読む前の私自身がそうでした。翻訳版の題名にもある「スタンフォードの脳外科医」、それだけで異次元の人となりや、一点の曇りもない輝かしい人生を勝手に作り上げていました。
ですが、著者ははっきり言って真逆の生い立ちでした。父はアルコール中毒、母は深刻なうつ病の貧困家庭で、両親からかまってもらえず、過酷な幼少期を過ごされました。勉強に集中するどころか、毎日の食事にありつけるのか、月々の家賃は払えるのか、といった生活や生存上の不安を、常に感じていらっしゃったようです。本の表紙からは想像もできなかった著者の壮絶な少年時代。
では、どのようにして逆境から這い上がって、成功を手にされたのか、気になりますよね。
著者のジム(ジェームズ)は12歳の時に、マジック用品店で、ルースという女性と偶然出会い、本書の鍵となるマジックを教わるのです。ジムは幼少期の厳しい家庭環境から、お金さえあれば全ての問題が解決し、幸せになれるはずだ!と信じて、若き日の体験を契機に、医師の道へ進むと決意。著者は憧れの医師になるべく、家族も同時にケアしながら、ルースのマジックを味方に、誰も真似できない努力をひたむきに続けてきました。
ただどんなに思い描いていた以上のキャリア、大金、高級車、美女を手に入れても、心の底から満ち足りる事はなく、孤独のままでした。紆余曲折を経てたどり着いた境地とは‥!?と、物語は続きます。
「本当にノンフィクション?」と、誰もが疑うようなストーリー展開でぐいぐい引き込まれ、でも要所要所に脳外科医としての専門的な解説も入るので冷静に読み進められ、終盤は感動し、ウルっとくる場面も。そんな著者の半生を追体験しているような気分になり、だからこそ、導き出された教訓にも自然と納得できる素晴らしい書籍です。
主婦である以上、家計管理や子供へのお金についての教育にも日々関心がありますが、「本当の豊かさとは何だろう」と、考えさせられました。
個人的な話で恐縮ですが私自身、話の展開が気になる小説や物語からは、まとまった時間が取れず遠ざかっていました。続きが気になるから夜更かししてしまった~という流れからの朝5時起きは修行に近いので、あえて距離を取っている感じです。
もし何らかの事情で、続きが気になる小説や物語系からは遠ざかっていた方にも、当書は他の自己啓発本にはない驚きや感動を得られるのでお薦めです。
人によって刺さる部分は違うかもしれませんが、人生の教訓が凝縮された教科書のような一冊です。
最も印象に残っている箇所
わたしたちの誰もが、人生の中で痛みを感じる状況を経験するの
それを「心の傷」って呼ぶのよ
それを無視するといつまでも治らない
でもときには、心に傷を負った時こそ、心が開くものよ
心の傷がいちばんの成長のチャンスになるの
困難は魔法の贈り物になるのよ
P.241『スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック』(プレジデント社 )より
早いものでもう12月。クリスマスに年末年始がやってきます。家族や自分の欲しい物、新年への願いに思いを馳せる時期ですね。
今年一年、皆様はどのような年だったでしょうか。楽しい事ばかりではなく、周囲の大切な人が辛く悲しい思いをしているのに、何もできずやるせ無さを感じた人もいるのではないでしょうか。
上記の引用箇所だけでも、本を読んだ時の静かな感動がじわ~っと蘇ります。とても奥深い。辛く悲しい出来事からは誰でも目を背けたくなるもの。
著者は「自分の心の傷だけでなく、周囲の心の傷を癒やす共感の力こそが、人生をよりよい方向に変えるのだ」と、述べています。
当書の最終部で述べられているような、著者の高尚な行いの数々は即真似できないにしても、あなたの大切な人に関心を注ぐ、共感する、思いやりをもつ、笑顔を向ける等、ほんの些細な事から毎日少しずつ始めてみませんか。
共感の波が必要な時代
今年も世界では戦争のニュースが絶えませんでしたね。ただただ命が失われていく状況に心を痛めている方も多いのではないでしょうか。
国内に目を向けると、大きな変化も。
今年ついに新型コロナウイルス感染症の位置づけも「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」から「5類」へと変更になりました。行動制限が少なくなり、多くの外国人観光客も日本を訪れるようになりました。
日本政府観光局によると、2023年10月の訪日外国人旅行者数は251万6,500人となり、新型コロナウイルス感染症拡大後、ついに単月比が2019年同月をわずかながら超えたとの事(0.8%増)。
そういったニュースを見聞きする機会が増えた割には、世間の流れと自分自身との間に大きな溝を感じます。
あまりにも長かった感染症への不安やマスク生活によって、自分自身や他人にもまだ心を閉ざしがち、自分を見失ってしまっている、孤独を感じるという方も多いのではないでしょうか。
著者は「幸せになりたければ、他人を幸せにするしかない」と、改めて私達に教えてくれます。
人と人との繋がりが希薄化する中で、本書を通じて、自分一人だけでは幸せになれない事に改めて気が付きました。また逆に言えば、自分や他者も尊重しながら、ほんの少し幸せな行動を取るだけで、また無限の幸せがさざ波のように広がり続ける事を改めて感じました。
まずは本書を読み、幸せへの扉を開き、ルースや著者のマジックに触れてみませんか?
幸せのヒントは案外、身近な所にあるのかもしれません。
マインドフルネス以外にも重要な「共感」というキーワードで、最近読んだ下記の本も思い出しました。
大和書房出版の『仕事を奪われない8つの思考法 AI時代に「必要とされる人」になる』イ・ジソン (著), 黒河星子 (翻訳)です。
人工知能時代に人間が身に付けるべき必須の能力として、共感能力と創造的発想力が挙げられています。
こちらも図書館で借りて面白かったので、未読の方は是非読んでみて頂ければ嬉しいです。